映画 ローズの秘密の頁 感想ネタバレなど

舞台となっているのは1942年の頃のアイルランド。時代背景とアイルランドという国をある程度理解していないとちんぷんかんぷんになりそうなお話。

当時アイルランドは中立の立場だったこともあり、英軍に志願したマイケルは非国民扱いを受けている。途中、ローズに道端で声をかけてきた青年の忠告はこのことなんですね。

アイルランドの田舎町に疎開してきたローズは、その美貌ゆえ目立つ存在で、男を次々にそそのかしているというような扱いを受けてしまう。

宗教的な背景も重要です。

牧師はプロテスタント、神父はカトリック。ゴーントは神父と呼ばれてましたし、ローズとマイケルが簡単な結婚式をあげたときは牧師と強調されてました。つまり、街の人はカトリックなんだけど、2人はプロテスタントなんですね。これが悲劇の要因の一つにもなっています。

さらに当時のアイルランドは厳格なカトリックの価値観を重視し、未婚の母は「罪深い女性を矯正する」という名目で囚人のように隔離・収容された。ローズは聖マラキ病院に40年もの間収容され続けていた。

以上のような背景を理解していないとほんとになにがなんだかわからない映画だなと。

ルーニーマーラは可愛いですね。キャロルでもそうでしたけど、耐え忍ぶときのこの存在感はなんなのでしょうか。

それにしてもコートを着るほど寒い状況なのに、海で泳ぐってのが不自然だなぁと。そういうもんなのかな。

f:id:gasyadokuro:20180211175107j:image

ドラマの舞台 1940年代のアイルラドについて

アイルランドは古くから隣国イングランドの干渉を受けてきた。宗教改革以降はプロテスタントであるイギリス系が少数派ながら支配層に、大多数のカトリックが被支配層となってゆく。奪われた土地と権利を奪回すべく様々な運動が起こっては抑圧されてきたが、1916年のイースター蜂起をきっかけに独立闘争が加速、1922年、アイルランドはついに独立を果たす。しかし北部の6州「北アイルランド」はイギリス領として残存するというものだった。第二次大戦中アイルランドはイギリス側にはつかず、中立国の立場をとる。この映画の主人公ローズは!イギリス領北アイルランドの都会から、アイルランドの田舎町に疎開してきたプロテスタントなのである。