「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと」を読んで
価値のある一冊だった。読んでよかった。
ジブリ作品は実はそんなに見ていなくて、ナウシカ、ラピュタ、トトロ、魔女の宅急便、もののけ姫くらいかな。あまりジブリに思い入れもないというのが正直なところ。だからジブリのアニメのすごさというのはあまりわかっていないんだけど、それでも定期的にテレビで放送されるジブリ映画の断片的な映像が頭の片隅に残されていて、表現力の高さというのは十分認識しているつもり。その表現力の高さがなんなのか、どこからくるのかというものをこの本ではある程度明らかにしてくれていて、とても興味深かった。
気になった部分を引用しようと思ったけどそれはまた#あとで書く
コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 新書
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心に響いた部分を記載しておく。
情報量には二種類ある
その二種類とは「主観的情報量」と「客観的情報量」。
前者は人間の脳が認識している情報 の量、後者はアニメの線の数からコンピューターの画素数まで、客観的基準で測れる情報の量
ストーリーか表現か
本当に凄い映画を見たときは、観客はストーリーなんて気にしないとも言います。よく、ストーリーの辻褄が合ってないことにケチをつける人がいるけど、問題なのはつじつまが合ってないことではなく、映画がおもしろくなかったことなんだそうです。だからこそ、つじつまが合わないことが気になる。
いかにお客とシンクロするか
情報量から考えたコンテンツの定義として、「小さな客観的情報量によって大きな主観的情報量を表現したもの」ということを挙げました。人間の脳が現実よりも少ない客観的情報をとおして、現実よりも大きな主観的情報を受け取るための媒介物がコンテンツだということです。
なにが脳にとって主観的な情報となるかは、人それぞれ異なると思いますが、普遍的に重要な情報があるとすれば、やはりそれは人間の本能的な情動に根ざしたものになるでしょう。
なぜ使えなくなった魔法がまた使えるようになったかは、いろんな説明が考えられるかもしれない。でも、作劇上のテクニックとして解説すると、そのとき観客は、キキに感情移入をしていて、飛んでほしいと願っていた。みんなが「ここで飛べ、飛べ」と思っていたから飛んだ。だから、そこで拍手喝采して、「ああ、よかった。よかった」とカタルシスを感じた。
主人公が高いところから落ちても、偶然助けられて死なないとか、奇跡がよく起きる。それは、助かってほしいという観客の願望を叶えることで、疑問を感じさせない構造になっている。
プロダクトを使いやすく改善していくことにも役立つのじゃないかなと。