スマホに満足してますか?

ユーザインタフェースの心理学というサブタイトルと増井俊之という名前に惹かれて読んでみた。

増井さんの経歴についてはWikipediaを見るのが手っ取り早そう。ガラケーiPhone での日本語入力が便利になったのは増井さんのお陰。

ユーザインタフェースの心理学とあるけれど

期待していたような内容ではなかった。特に後半。自身が開発したものの話が中心になっているように感じてしまい期待はずれ。全体的にまだまだ課題が山積みであるという話で、たしかにそれは「スマホに満足してますか?」に通じており、今後もっともっと便利になるであろう・ならなければいけないということを予感させるものではあった。

意識的に省いてある機能は気づかれにくい

シンプルにするためにあえて付けていない機能なのに、そのことを汲み取れずに機能を追加してしまうことで最終的に複雑で使いにくいものになってしまうという指摘は耳が痛い。

意識的に省いてある機能は、実は他社との差別化を行ううえでもとても大切。この機能あったら勝てそうとライバル各社が思い込んでしまえばしめしめものなのだ。だってそれをやるということは破綻への一歩なわけだから。このあたりは戦略的に考えていかないといけないことなんだけど、実現するのは難しく、なぜかというと自分たちでも「意識的に省いた機能」について信念を持ち続けブレずにいることは至極困難なことだから。特にある程度大きな組織で現場と経営陣や決裁者との距離に乖離がある場合は。

 

他に気になったことをいくつか。

 

自己正当化の活用

他人を味方につけるならその人の得になるようなことをしてあげるよりも、何かを頼むことのほうが効果的。

チャルディーニの話、ここでもでてきてやはりそうだよなという思いをいだいた。

使いやすさの目標

  • 学習しやすさ
  • 効率
  • 記憶しやすさ
  • エラー
  • 満足度

求められるのは発明という能力

何かを設計する人には将来のユーザーが満足するであろう新しいインタフェースやデザインを発明する能力が必要なのです。

ほんとそうなんだよな。

ユーザテストの評価について

「新しいシステムを使いやすいと答えるユーザが多かった」という記述より「100人のユーザに対して新システムを1週間利用させたところ、作業効率が30%上昇した」という記述の方が説得力がある。

システムの良し悪しよりも、ユーザ評価の質が高いかどうか

まさにこれ。ユーザテストをすることはあっても、それがいまひとつ組織の文化として根付かない理由は良し悪しを評価するところで終わってしまっているからなのではないか。そのあたりを今後は意識していきたい。